
当院では、デジタルを使った、歯科診療に力を入れています。当院の小室暁理事長は、日本臨床CADCAM学会の副会長、指導医の資格を持っており、また、歯科技工士や、歯科衛生士、トリートメントコーディネーター、歯科助手に至るまで、日々デジタル歯科技術について研鑽しており、日本でもトップレベルのデジタル歯科診療を提供できると自負しております。
ところで、一般に、コンピューターを使った、いわゆるデジタル、と言う言葉には、ズレがなく、正確である、といったイメージをお持ちではないでしょうか?例を挙げますと、携帯電話の例を取りますと、これまでのガラケーより、スマートフォンの方が当然進んでいますし、テレビをとっても、ブラウン管テレビより、最近の液晶デジタルテレビの方が明らかに進んでいるわけです。進んでいれば、音質も、画質も当然精密でクリアーだろうという感覚です。ですので、デジタル化、と言うこと自体は明らかにこれからも進めていくべきことなのですが、実は、歯科のような細かい作業をする領域においては、デジタルを信用しすぎるとおもわぬ落とし穴にはまることがあります。
歯科において使用するデジタルデータの数々
まず、歯科では、どのようなデジタルのデータを使うのか例を挙げてみようと思います。
1.CTや、レントゲン
人の顎の形や、歯の状態を、X線を照射してデジタルデータとして残します。特に、CTのデジタルデータは、DICOMデータと言って、骨や歯の形が立体画像で示され、診断に非常に有意義なものとなっています。
2.口腔内や、顔面の写真
当院では、一眼レフの、非常に高性能なカメラを使い、人の顔の写真や、歯の写真、笑顔の写真など、様々な情報をデジタルデータとして残しています。
3.口腔内の歯並びなどのデジタルデータ
当院ではセレックや、アイテロといったイントラオーラでスキャナを使用して、歯並びや、歯そのものの形、色のデータをデジタルデータとして残しています。最近では非常にスキャナの性能が向上し、精度も上がり、虫歯の検診などにも使用されるようになってきています。
4.顔面の立体写真
人の顔面の画像を、カメラのような2次元でなく、立体画像として残す技術が最近発達してきています。
5.顎の動きのデータ
顎は、常に同じところにとどまっているわけではなく、ものを食べたり、しゃべったりするときに顎を動かします。その動きのデータも、最近では全てデジタルのデータとして残せるようになってきています。
デジタルデータを使用するときの落とし穴について
それでは、これらのたくさんのデジタルのデータは、全て同じように正確でズレがないのでしょうか?
当院での研究や、様々な文献でのデータにおいて、それぞれのデジタルデータは、正確さが、それぞれ全く違うことがわかっています。つまり、われわれは、全く違う精度のデータを同列に扱って診査診断に使ってしまう可能性をはらんでいるといえます。
そしてそもそも、それぞれのデジタルデータは、保存形式が全く違い、簡単には重ね合わせたり融合させたりできないのです。
多くの歯科医師は、その点を理解せず診療に臨むことがあり、そこに落とし穴が存在すると思っています。
また、使用用途によって、必要とされる正確性は全く違うため、その点にも注意して診療する必要があると思っています。例えば、かぶせものを作るために要求される精度と、歯並び矯正をシミュレーションをするための必要とされる精度は、かなり違うと思っています。
少し難しい話となりましたが、当院では、様々なデジタルデータを使用しているからこそ、デジタルの限界を十分にわかりながら、日々診療に当たっています。デジタルは、万能の機器ではなく、所詮道具の1つに過ぎないと言うことを肝に銘じて、我々もデジタルの最先端を走り続けていきたいと思っています。
本日は、少し難しい話題になってしまいましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました!