小室院長にインタビュー「セラミック治療(メタルフリー治療)に対する想い」

Q、歯科治療に金属を使うリスクについて教えてください

治療レベル・質の高い歯科医師

実は、日本の人口の約10分の1にあたる1,000万人の方が、金属アレルギー患者もしくは潜在的な金属アレルギー患者だと言われています。しかし、現在の保険治療では主に金銀パラジウム合金が使われていますし、セラミック治療として使われているメタルボンドも補強のために金属で裏打ちしています。つまり、多くの歯科治療で金属アレルギーを起こすリスク要因を作ってしまっているのが現状なのです。

なお、金銀パラジウム合金については、金属の中でも口の中でイオン化しやすく溶けやすいことが問題視されています。「手や足に湿疹や水泡があらわれる」「口の中の歯茎が荒れる」といった原因がわからない不快症状の原因になるのです。

また、金属には温度変化で膨張や収縮をする性質があり、口の中の金属でも同様の現象が起こります。金属の形状が変わると歯の間に隙間ができる原因となり、虫歯になりやすくなります。
一方、セラミックは金属と比較すると歯肉とのなじみがよく膨張や収縮によって変形しないため、歯周病や虫歯になりにくいといったメリットがあります。

Q、メタルフリー治療を推進するきっかけは何でしょうか?

圧倒的な経験+実績(症例数)を誇る歯医者

では、メタルフリーを推進しようと思うまでの経緯をお伝えしたいと思います。まず、私は大学を卒業した当時から金属アレルギーについて関心を持っていました。実際に金属アレルギーの患者さんの治療を通じ、メタルフリーの必要性を痛感していたことが前提としてあります。

私は大学時代から、健康性や見た目の良さを兼ね備えたセラミックは患者さんに本当に満足いただける素材だと確信していました。しかし、現実的にセラミック治療は、診断、説明から治療、メンテナンスに至るまで医院の総合的な力が求められます。

また、日本の保険制度は金属による修復が中心ですし、セラミック治療でも歯との適合性やセメントの質ともに発展途上の段階でした。それに当時は患者さんに説明するにも今のようにCTも普及しておらず機材も十分とは言えない状態でした。セレックをはじめとするCAD/CAMも、20年ほど前からありましたが、一般開業医にとって実用的な段階ではない気がしていました。

そこで、セラミックに限らず、歯科治療全般において診断・説明ツールをIT化もふくめて充実させ、セラミック治療に関しても進歩についていくように常に最新の良いものを取り入れ、日々研鑽して地道な努力を重ねました。そして、2013年の夏に当院はあべのハルカスの開業に伴って大規模リニューアルしたときに、「健康医療」をコンセプトの柱のひとつに据えました。

メンテナンス用半個室、CT、最新型のセレック導入など、大きくハード面も充実させました。また、それと同時に国内有数のセレックの研究会であるJSCAD(現、日本臨床CADCAM学会)やIACDという国際学会への参加を通じて研鑽を積みました。ハードを使いこなすためにスタッフ全体での勉強会も複数回にわたって行いました。こうして多くの準備を経て医院のセラミック治療に対する総合力高め、今もセラミック治療を医院全体として提供できるように推進しています。

Q、メタルフリー治療を受けた患者様とのエピソードはありますか?

ある患者さんのご紹介で初診で口臭や歯周病について気になるという方が来院されました。そこで、症状を取り除くためにはまずお口の中を掃除し、その後も掃除しやすい口腔内環境に整えるために、デコボコしている金属の詰め物・被せ物を除去し、できるだけプラークがつきにくいセラミックに交換する方法があることを写真やレントゲン、CTなどでご説明しました。

すると、その患者さんはご自身のお口の状態を知って驚かれました。直さなくてはいけないと思っておられたのですが、「いざ写真などで見てみると改めて決心がつきました。お話ししてもらって色々知れてよかった」とおっしゃいました。最終的には、すべて金属をセラミックに替えて治療を完了したのですが、治療後のご自身のお口を見て綺麗になったとご満足いただけ、ほっとしました。

この患者さんとのエピソードは、自分がメタルフリー治療に対して自信を持つ大きな後押しとなりました。お口の中に多くの不良な詰め物・被せ物があり、それが金属であることは日常的にみる状況です。

多くの方はご自身のお口の状態について自覚されていないのですが、それを私たちの説明によってご理解のうえで治療についてきていただき、そして満足いただけた。あるべきステップを踏んで、あるべき結果に至ったという意味で、今後ともこのような患者さんとの関係を増やしていきたいと思いました。

Q、サイトをご覧の方にメッセージをお願いします

理事長 小室暁

ここまでお話ししましたように、金属を口の中に使うことは見た目だけでなく健康にとっても良いこととは言えません。しかし、多くの方がいまだご自身のお口の状態について把握されておらず、また把握していても、不安をお持ちで治療に踏み切れない方が多いと思います。ですので、まずは一度お口の中の検査を受けて、詳しいご説明を聞かれることをお勧めします。また、治療に際しては、診断、説明、治療、そしてメンテナンスと、一連の工程を精度高く行われなければいけません。

当院ではCTをはじめ、多くの最新設備をそろえて診断し、必要に応じて口腔内写真、唾液検査、模型などをフルに用いて説明し、治療に関しては最新のセレックオムニカム、インラボシステムを使用して最適なものを提供していきたいと考えております。セラミック治療やCAD/CAM治療はまさに日進月歩です。私たちは良い治療を採り入れる姿勢を持ち、日々の研鑽も常に忘れず、患者さんと共に歩んでいきたいと思います。